キャッシュフロー計算書(C/F)

キャッシュフロー計算書は英語でcash flow statementと言い、現金及び現金同等物(預金など)の動きを表しています。C/FあるいはCFと略すことはあり、読み方は「シーエフ」となりますが、損益計算書のP/L(PL)や貸借対照表のB/S(BS)ほど略して言うのはポピュラーではありません。一般的な損益計算書は以下のようになっています。

キャッシュフロー計算書イメージ

損益計算書や貸借対照表とは異なり、通常はキャッシュフロー計算書を税理士は作成しませんので、自身で作成する必要があります。しかし、キャッシュフロー計算書の作成方法までは覚える必要はありません。キャッシュフロー計算書を作成するには、会計ソフトのキャッシュフロー計算書作成機能を活用する(グレードによっては機能がない場合もあります)、あるいは中小企業庁のサイトでダウンロードできる会計ツール(Excelファイル)を活用ください。

なお、キャッシュフロー計算書を作成するためには損益計算書と2期分の貸借対照表が必要です。そのため、最低でも、2期経過した企業でないとキャッシュフロー計算書の作成はできません。

キャッシュフローの種類

営業キャッシュフロー

本来の事業活動によって得たキャッシュフローで、起業したての不安定な時期はともかく、基本的に黒字になっていないといけません。

売掛金の回収サイトが長い、(クリエイターにはあまり関係ありませんが)在庫が過剰である、借り入れの金利が高いといったことが営業キャッシュフローを悪化させる主な原因です。

投資キャッシュフロー

設備投資に関するキャッシュフローです。設備投資をすればキャッシュアウトする訳ですからマイナスになります、売却してキャッシュインがあればプラスになります。売上をアップさせたり、生産効率を高めるために設備投資を行う訳ですから、必ずしもプラスが望ましい、マイナスが望ましくないという訳ではありません。

しかし、その投資が意味を持たないもの(営業キャッシュフローのプラスに繋がるようなもの)ではいけません。例えば当期の税金を払わないように利益を減らすだけの不要な設備投資などを行うと、当然ながら次期のキャッシュフローが悪化して、経営が苦しくなる原因になります。

財務キャッシュフロー

借入や社債発行などの資金調達活動やそれらの返済に関するキャッシュフローで、資金調達を行えばプラス、借入金の返済を行えばマイナスになります。

借入を行うと財務キャッシュフローそのものは増加しますが、毎月の借入金の返済額と支払利息も増加し、営業キャッシュフローに影響を与えます。また、借入を返済すると財務キャッシュフローは減少しますが、借入金の残額と支払利息も減少します。そのため、投資キャッシュフローと同様にプラスであることが望ましい、マイナスであることが望ましいと一概に言い切れません。

フリーキャッシュフロー

営業キャッシュフローと投資キャッシュフローの合計をフリーキャッシュフロー(FCF)といいます。事業によって得たキャッシュフローから設備投資を行い、残った分が自由に使用できる資金であるということを意味しています。

キャッシュフロー計算書の分析

起業したての時期は仕方がありませんが、フリーキャッシュフローはプラスであることが望ましい状態です。また、マイナスであれば財務キャッシュフローで不足分を補う必要があります。マイナスの状態が続くようでしたら危険な状態ですので、事業活動の見直しや資金の使い道を検討し直す必要があります。

フリーキャッシュフローには以下の6パターンがあります。

営業CF 投資CF フリーCF
+ + +
- +
-
- + +
-
- -

①営業CF(+)、投資CF(+)、フリーCF(+)

営業活動でキャッシュフローを生み出しているのは望ましい状況ですが、設備を売却している状態でもあります。売上や生産性向上のための投資を検討する必要があるかもしれません。

②営業CF(+)、投資CF(-)、フリーCF(+)

営業活動でキャッシュフローを生み出し、その範囲内で投資を行っている状態です。キャッシュフローとしては健全な状態と言えるでしょう。

③営業CF(+)、投資CF(-)、フリーCF(-)

営業活動で得たキャッシュフロー以上の投資を行っている状態です。将来のための一時的なものであれば問題はありませんが、この状態が続くと経営状態が悪化する恐れがあります。

④営業CF(-)、投資CF(+)、フリーCF(+)

営業活動でキャッシュフローを生み出せていない分を設備の売却で賄っているため、大変望ましくない状態です。事業内容や営業活動の見直しといった、抜本的な改革が必要です。

⑤営業CF(-)、投資CF(+)、フリーCF(-)

営業活動でキャッシュフローを生み出せていない分を設備の売却で賄おうとしても賄い切れていない危険な状態です。事業内容や営業活動の見直しといった、抜本的な改革が必要です。

⑥営業CF(-)、投資CF(-)、フリーCF(-)

営業活動でキャッシュフローを生み出せていない上に、設備投資がなされている状態です。創業当初であればこういった状態は珍しくないですが、経営が悪化してこの状態になったのであれば危険水準と言えます。事業内容や営業活動の見直しといった、抜本的な改革が必要です。

理解度Check

以下の文章は正しいでしょうか?もし間違っているならどこが間違っているでしょうか?

経営上キャッシュフロー(CF)が少ないよりも多い方が望ましい。したがって、営業CF、投資CF、財務CFのいずれもプラスであることが望ましい。

×不正解
一概に言い切れません。事業拡大のための投資は経営上必要なことです。投資を行うと投資CFはマイナスになります。

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