アンゾフの成長ベクトル

市場と製品をそれぞれ既存と新規に分類し、どちらの市場にどちらの付加価値を提供するか、自社の進むべき方向性を考えるフレームワークで、アンゾフの成長マトリクスとも言います。

アンゾフの成長ベクトル

4つの戦略

市場浸透戦略以外は、基本的に新たな経営資源が必要になります。現在活用できていない既存の経営資源を生かしたり、追加で必要となる経営資源は少ない方が理想です。

市場浸透戦略

既存市場に既存製品を投入し続けることで、市場でのシェア拡大を目的とした戦略です。競争優位性を発揮して、既存の市場の顧客のさらなる掘り起こしをねらいます。

既存顧客の流出を防ぎつつ、新規の顧客の拡大を図るための施策が必要です。

新市場開拓戦略

新しい地域や新しい顧客層に対して既存製品を投入し、市場を拡大していくことを目的とした戦略です。人物専門のカメラマンが風景写真も撮るようになることで、新しい顧客の開拓を図るといったイメージです。

既存市場から拡大するのであれば、既存市場を維持しつつ新規市場での顧客開拓が必要です。既存市場から新規市場にシフトするつもりであれば、新規市場をいつまでにどの程度開拓するかが重要になります。

新製品開発戦略

開拓済みの販路などを活用して新製品を投入する戦略です。グラフィックデザイナーが新たに既存顧客のWeb制作も請け負うようになったというのをイメージしていただくと分かりやすいでしょう。

既存商品と新規製品のバランスを考えながら、それぞれがシナジー効果を得られるようにする必要があります。

多角化戦略

新規市場に新規製品を投入する戦略です。

環境の変化などによって既存事業の売上が大きく下がったとしても、新規事業は影響を受けにくいため、リスク分散効果が得られるメリットがありますが、必然的に経営資源が分散することになります。したがって、経営資源の乏しい中小企業や個人事業主には実行が難しい戦略です。

理解度Check

以下の文章は正しいでしょうか?もし間違っているならどこが間違っているでしょうか?

アンゾフの成長ベクトルの4つの戦略の内、一番経営資源を必要とするのが多角化戦略であるが、一般的に追加の経営資源が一番少なくて済むのは市場浸透戦略である。

○正解
市場浸透戦略はすでに参入している市場に対して既存商品を展開する戦略なので、4つの戦略の中では最も追加の経営資源が少なくてすみます。もちろん追加の経営資源の投入は不要と言う訳ではありませんし、どの程度必要であるかも市場環境によって変わります。

経営戦略概論

環境分析

戦略意思決定

参考資料