PEST(ペスト)分析とはマクロ環境分析の代表的なフレームワークで、政治面(Politics)、経済面(Economy)、社会面(Society)、技術面(Technology)の分析を行います。これら4つの頭文字を取ってPEST分析と呼ばれています。
法律の施行や規制緩和、経済動向、人口動態や生活スタイルの変化、テクノロジーの進化などの業界外の環境変化が、自社やクライアント企業を取り巻くミクロ環境に影響を与えます。そのために、今後の展望を考えるにあたってマクロ環境を分析します。
例えば、スマートフォンの普及によってwebサイトもスマートフォンに対応しなくてはいけなくなりました。さらに、タブレットも普及したことで、タブレットへの対応も必要になりました。必然的にクリエイター側も対応が求められます。
このように社会的な変化、技術面の進歩に合わせてニーズや求められることが変わるということがお分かりいただけるかと思います。
PEST分析を行うのであれば、現在の分析だけでなく、3~5年程度の近い将来がどうなっているかも検討するのが良いでしょう。
PEST分析の4つの項目
政治面(Politics)
政治動向、制度、法改正などは、一般的に市場のルールに大きな影響を与える可能性があります。
運送業界のように免許制から許可制に変更になったために、新規参入が増えて競争環境が激しくなったというような事例があります。クリエイターは許認可が必要な訳ではありませんが、法改正によって労働条件の見直しなどが迫られるといった、政治面での影響を受けることも充分に考えられます。
経済面(Economy)
景気動向、為替、株価、経済成長、消費動向などは、市場の成長性や需要に大きな影響を与える可能性があります。
国内外の景気動向や経済動向は企業の広告宣伝費にも影響を与えます。例えば、景気が悪くなると広告宣伝費が削減されるために注文が減ったり、同じ内容で値下げ交渉をしてくるようになったりと、クリエイターの業界にも影響が現れるというのはイメージしやすいのではないでしょうか。
消費が増加している業界、つまり市場が拡大している業界は広告宣伝費が増加するということが予想されます。
社会面(Society)
人口動態、年齢分布、流行など、社会的価値観やライフスタイルの変化は、市場の成長性や需要に大きな影響を与える可能性があります。
日本は少子高齢化が進んでいますが、子供向けの商品・サービスのパイが縮小しているということが言えそうです。しかし、子供1人当たりにかける金額の拡大というプラスの要因も考えられます。逆に高齢者をターゲットとした市場は拡大していくでしょう。
技術面(Technology)
技術の進歩や新しいテクノロジーになどの技術動向の変化は、企業の経営資源や競争環境に大きな影響を与える可能性があります。
特別な設備やスキルが必要だったものの、技術の発展によって敷居が下がってしまったものや需要そのものがなくなってしまったものもあります。例えばDTPの普及によって写植が不要になるなど、印刷業務のフローそのものが大きく変わってしまうといったことがありました。このように、技術の進化は既存の商品・サービスを無価値なものにするほどの影響を与えることもありえます。
今後のトレンドとしては、ビッグデータの活用やAIの発展の影響が考えられるでしょうか。
理解度Check
以下の文章は正しいでしょうか?もし間違っているならどこが間違っているでしょうか?
マクロ環境の内、特に経済面(Economy)と技術面(Technology)は顧客の業界よりも自社の競争環境に与える影響が大きい。
- ×不正解
- 業界によって影響の大きさは異なりますが、4つの項目の内で特にどれが顧客の業界に影響を与え、どれが自社の競争環境に影響を与えるといったことはありません。