環境分析の目的

孫子の「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」はご存知の方も多いかと思います。その後には「彼を知らずして己を知れば 一勝一負す」さらに「彼を知らず 己を知らざれば 戦う毎に必ず殆し」と続きます。敵と自らについてちゃんと把握していれば負けない、的を知らないが自分を知っていれば勝ったり負けたり、両方とも知らなければ必敗であるということです。

経営を行うにあたっても同様です。敵(競合を含めた外部環境)と自身(内部環境)をちゃんと把握できていないと適切な判断ができません。適切な経営判断を行うためにも、外部環境と内部環境の両方を把握しておく必要があります。

外部環境

外部環境とは社会や市場といった社外の環境のことです。外部環境は自社でコントロールすることが極めて困難で、一方的に影響を受けると考えて差し支えないでしょう。

外部環境もミクロ環境とマクロ環境に分けられます。明確な基準はありませんが、概ね自社のいる市場をミクロ環境と呼び、顧客の動向や競合の動向といったことが該当します。ミクロ環境よりも大きな社会環境をマクロ環境と呼びます。経済や社会、法律の動向といったことが該当します。

外部環境をちゃんと把握していなければ、判断の材料がありませんので、場当たり的な対応にならざるを得ません。また、自社にとって危機的な環境変化が近づいていても、その兆しにも気が付きません。したがって、適切な判断ができなくなってしまいます。

クリエイターにとって重要な外部環境の変化とは、景気の変動による広告宣伝費の増減やデザインの流行、それらに伴う顧客ニーズの変化といったことが考えられます。こういったことに対応していけなければ存続できないということはイメージいただけるかと思います。

内部環境

内部環境とは自社内の環境のことです。経営資源や組織体制、付加価値を生み出すビジネスプロセスといったことが該当します。自社内のことですので外部環境と比較するとコントロールが容易です。

どのような経営判断であったとしても、実行できるリソースがなければ実現はできません。経営資源に過不足があった場合も、何がどれだけ過剰なのか、不足なのかは現状を把握していなければ分かりません。つまり、内部環境を把握していないと、自社が経営を行っていくにあたっての実現性に影響するということになります。

理解度Check

以下の文章は正しいでしょうか?もし間違っているならどこが間違っているでしょうか?

環境分析を行う理由は、適切な戦略を立案するためである。

○正解
客観的に情報を整理することで、より成功の確度が高まります。

経営戦略概論

環境分析

戦略意思決定

参考資料